【ほんねくんのAI起業ラボ】第12話「📦 試作品を、使ってもらえる形にしよう」

 

斜め横からパソコンを操作するほんねくんと鍵のアイコン。第12話、試作品を使ってもらえる形にしよう。

♪♪ きほん|初めての人が、説明を見て一件試せるようにする

「動かし方は簡単です。ここに入力して、あとは……」

ほんねくんが試作アプリを見せると、相手は少し困った顔になりました。

「何を入力すればいいですか? この確認事項は、誰に見せるものですか?」

作った本人には分かる画面でも、初めて使う人には分からないことがあります。第11話で相手の仕事を聞いたら、次は、その人が試せるように説明と案内を整える番です。😊

※会話、研修会社「まなびサポート」、入力例は学習用の架空の設定です。実際の試用結果や導入実績ではありません。

結論:「最初の一件」を試せる案内を添えよう

第1話では、誰の何を助ける商品かを考えました。今回は、できた試作品を相手に見てもらう場面へ進みます。

用意するのは、最初に読む短い説明、入力例と結果の見方、困ったときの案内、試した後の聞き取りです。機能を増やす前に、今ある機能をどう使えばよいかを伝えます。

第8話のGASアプリは自分専用の学習用試作です。今回は自分の環境で操作して見せる、または同じ画面を見ながら相手の指示で操作する形から始められます。相手が独立して利用するための権限設定や運用は、別途整える必要があります。

1.最初の説明は、読んだ人が行動できる文章にする

「AIで業務を効率化します」だけでは、最初に何をすればよいか分かりません。試用の冒頭では、次のように伝えます。

「これは、架空の研修への問い合わせから返信案を準備する練習用アプリです。まず例文Aを選び、『返信案を作る』を押してください。表示された返信案を研修案内と比べ、必要なら文章を直します。社内向けの確認事項は、お客さまへ送る文章とは分けて読みます。このアプリからメールは送信されません。」

さらに、今が「用意済みの返信で操作を練習する状態」なのか、「実際にAIへ接続して返信案を作る状態」なのかを伝えます。

用意済みの返信なら、結果はAIがその場で生成したものではありません。実際にAIへ接続するなら、入力が外部へ送られること、最初は架空の情報を使うことも説明します。

「何ができるかだけでなく、次に何を押すかまで書くんだね」

2.操作説明は、4段階にそろえる

操作の説明は、「入力する」「作成する」「確認する」「修正して終える」の順にします。押す場所だけでなく、その後に何が見えればよいかも添えます。

例文Aの入力、返信案の作成、根拠との照合、修正して終了という初回操作の四段階。
操作案内する内容と、確認する状態
1.入力する練習用の問い合わせでAを選ぶ。本文欄に質問が入ったか確認
2.作成する「返信案を作る」を押し、完了かエラーの案内を待つ
3.確認する返信案と研修案内を照合し、社内向けの確認事項も読む
4.修正して終える必要なら返信案を編集し、練習として内容を確定する

練習では実際のメール送信はしません。画面を閉じたり再読み込みしたりすると入力や結果が消えるため、残したい練習結果は了承した方法で手元に記録してから終えます。

説明用の画面図を付ける場合は、この四段階と同じ番号を使うと追いやすくなります。本文の図解は説明用で、GASアプリの実画面のスクリーンショットではありません。

3.入力例と「確認する答え」を、一緒に渡す

「自由に入力してください」と言われると、最初の一件で迷いがちです。そこで、短い入力例と、その結果で確認するポイントを用意します。

今回の研修案内は「オンライン・90分」「料金と開催日は未定」「個別訪問と録画提供は非対応」です。

入力例結果で確認すること
A:開催形式と、所要時間を教えてください。オンライン・90分という案内と一致している
B:次回の日程と料金を教えてください。未定と伝え、確定状況を社内で確認する事項がある
C:自社まで来て、研修の録画も提供してください。訪問・録画を提供すると約束していない

結果の文章が見本と一字一句同じである必要はありません。AI接続時は表現が変わるため、「含まれるべき情報」と「約束してはいけない内容」を説明します。

画面の練習では例文を変更せずに使います。自由な入力を試すのは、AI接続の設定と入力してよい範囲を確認した後です。

「追加確認なし」は、送信してよいという許可ではありません。初めての人にも、どの結果でも人が案内と照合すると伝えます。

4.エラーの案内には、次の行動を書く

「失敗しました」とだけ表示されると、利用者はボタンを何度も押したくなります。試用の案内には、状態ごとの次の行動を用意しておきます。

入力不足、設定や通信の問題、誤った返信案という状態に応じた次の行動の案内例。
状態利用者への案内例
本文が空欄「例文Aを選び、本文が入ったことを確認してください」
作成中「処理中の案内が出ている間は、操作を繰り返さずお待ちください」
設定・権限のエラー「表示された案内を、試用の進行役に伝えてください」
AIの利用制限「連打せず操作を止め、進行役に利用枠の確認を依頼してください」
内容がおかしい「その返信案は使わず、問題の箇所を記録してください」

通信が止まったように見えても、再操作の前に進行役が実行状況を確かめます。再試行で利用回数や費用が増える可能性があるためです。

これらは、同梱する説明文の例です。今回はアプリのエラー表示や処理を変更していません。自分の画面の表示と説明が食い違っていないかを、試用前に確かめます。

5.説明した後は、相手が迷う場所を見る

試用中、ほんねくんはすぐに「そこを押してください」と言いそうになりました。でも、それでは説明が足りない場所を見つけにくくなります。

まず案内を渡し、相手に「次に何をすると思いますか?」と聞いてみます。自分専用のアプリを同じ画面で見ている場合も、相手の言葉に沿って操作すれば、どの説明で迷うかを確かめられます。

途中で止まったら、どの表示を見て、何をしようとしたかを聞きます。必要なら助け、その内容も記録します。実データの入力や誤った返信の利用につながる場面では、そのまま進めず止めます。

観察メモは「分かりにくそうだった」より、具体的に書きましょう。

「『社内向け』を顧客への返信に含めると思った」「作成ボタンの後、結果を待つのか分からなかった」「例文を選ぶ前に入力欄で止まった」などです。

相手が迷った理由を、本人の理解力だけに求めず、用語、表示の順序、説明の不足から考えます。

6.感想を、次の修正につながる質問にする

最後の質問も「使いやすかったですか?」だけで終えないようにします。

  • 最初に、何を入力するものだと思いましたか?
  • どこで次の操作が分からなくなりましたか?
  • 返信案と社内向けの確認事項の違いは、どう理解しましたか?
  • この説明に一つ加えるなら、何が必要ですか?

第10話で扱った時間・品質の検証と、今回の「使い方が伝わるか」は分けて記録します。説明が伝わるようになっても、AIの返信が正しいと証明されたわけではありません。

また、同じ画面で案内を受けながら試せたことと、一人で日常業務に使えることも別です。どのように試したか、どこで手助けしたかを残します。

ほんねくんは、まず冒頭の説明に「社内向けの確認事項は、顧客への返信とは別」と加えました。次の人にも同じ箇所が伝わるかを確かめます。

「動く試作に、使い方と困ったときの道案内を添える。それも商品を届ける準備なんだね」

今日の実践:初回案内を1枚作ろう

同梱の「初回案内・試用メモ」を使い、最初の説明、例文一件、操作の四段階、困ったときの連絡先を埋めます。画面に出るボタン名と、説明で使う言葉をそろえましょう。

その案内を誰かに読んでもらい、「最初に何をするか」「どこまでが練習か」「困ったら誰に聞くか」を説明し返してもらいます。まだアプリを見せられなくても、案内文だけで伝わるかを確認できます。

今日の成果物は機能一覧ではなく、初めての人が最初の一件を試すための案内です。

🍀 今日の理解

試作品を使ってもらうには、操作・入力例・結果の見方・困ったときの行動を伝え、実際に迷う場所を確かめる。

🔍 ほんねチェック

作った自分が説明し続けないと進めない部分はありませんか。手助けした場所を記録すれば、説明文や画面を直す手がかりになります。

📝 会社づくりメモ⑫

  • 初めての人が、最初にする操作は?
  • 入力例と、結果で確認するポイントは?
  • 困ったとき、次に何をすればよい?
  • 相手が迷った箇所を、どう直す?

次回予告:AIを使う仕事、いくらかかる?

APIの利用料だけでなく、説明・確認・問い合わせ対応の手間も含め、提供を続けるための費用を整理します。

「ほんねくんのAI起業ラボ」は全24話。原則1日1話、休みを挟みながら、AI・ITの理解から小さな事業づくりまで進めます。

前回:第11話「その困りごと、本当にお客さまにもある?」