【ほんねくんのAI起業ラボ】第13話「💰 AIを使う仕事、いくらかかる?」

 

電卓と費用メモを見比べるほんねくん。第13話、AIを使う仕事はいくらかかる?

♪♪ きほん|利用料と、人の手間を合わせて見積もる

「AIの利用料が少なければ、安く提供できそう!」

ほんねくんは電卓を手にしました。でも、第12話で初回案内を作ったことを思い出します。入力例を用意し、使い方を説明し、困ったときには問い合わせを受ける。その時間も、サービスを届けるために必要でした。

「AIに払うお金だけ見ていたら、僕がする仕事を数え忘れるね」 😊

今回は、返信支援を提供し続けるためにかかる費用を整理します。販売価格を決めるのは次回。まずは、費用の見取り図を作りましょう。

※研修会社「まなびサポート」とサービス例は架空です。以下の金額・時間・利用件数は計算練習用の仮定で、実際のAPI料金、相場、導入実績ではありません。

結論:外へ払うお金と、人が使う時間を両方書こう

費用メモには、APIなどの外部サービスへ払うお金と、提供する側が使う時間を分けて書きます。自分の時間にも仮の時間単価を置くと、続けられる仕事量か考えやすくなります。

さらに、最初だけの準備と、毎月の運用を分けます。同じ作業を両方に重ねて計上しないようにしましょう。

第10話では、使う人の時間と品質を確かめました。今回は、提供する側にどんな作業と支出が生じるかを整理する回です。顧客が返信を確認する時間は、顧客側の負担として別に残します。

初回準備、月々の外部支出、提供者の継続的な作業を分けて整理する。

1.最初の準備と、毎月の運用を分ける

返信支援なら、初回には案内情報の整理、設定、確認用ケースの準備、操作説明などがあります。その後も、案内の更新や問い合わせ対応が続きます。

種類このサービスで考える項目
初回の準備設定、資料整理、動作確認、初回説明
毎月の基本的な運用利用状況の確認、定期的な設定点検
利用に応じた支出・作業API利用、追加の説明、再生成や問題への対応

月額の外部ツール代は、利用が少なくても発生することがあります。一方、APIの従量料金は、呼び出し方や使った量に応じて変わります。サービスごとの契約条件に合わせて分類します。

複数社で共通のツールを使う場合は、その費用を各社へどう割り当てたかもメモします。共通費を各社に全額ずつ足したり、どこにも入れなかったりしないようにします。

2.API料金は「問い合わせ1件=1回」とは限らない

テキスト生成APIでは、入出力のトークン数などが料金に関わります。トークンは文章を処理するための単位で、文字数と常に一致するわけではありません。Gemini APIも入力・出力の使用量が料金に関わり、モデルなどの条件で単価が異なります。[1][2]

送る情報は問い合わせ本文だけではありません。毎回の指示や研修案内も入力に含めて考えます。また、一つの問い合わせで再生成したり、別のAIに検品を頼んだりすれば、呼び出しが増えることがあります。

見積もりでは、少なくとも次の項目を控えます。

  • 使用するサービス・モデルと、料金を確認した日。
  • 一回あたりの入力・出力の使用量。
  • 問い合わせ一件あたり、平均何回呼ぶか。
  • 月に何件を扱い、どの追加機能を使うか。

単価が「100万トークンあたり」で表示されている場合、基本的な計算は「入力トークン数÷100万×入力単価 + 出力トークン数÷100万×出力単価」です。ただし、思考用トークン、キャッシュ、検索などの扱いは利用仕様によって異なります。実際には該当する料金項目を追加し、利用明細と照合します。[1][2]

単価が米ドルなら計算結果も米ドルです。円で見積もる場合は使った換算レートを記録し、実際の請求とは差が出ることも見込みます。

3.無料で試せても、費用の項目は消さない

Gemini APIには無料枠がある一方、対象モデルや利用量には条件があります。課金設定と利用枠は、自分のプロジェクトの状態を確認します。[1][3]

現在のAPI支出が0円でも、利用が増えたときに必要な費用は、別の見積もりとして残します。無料枠に収まる試用と、顧客に継続して提供する条件を同じものと決めつけないためです。

また、AIのチャット画面の契約と、アプリから呼ぶAPIの契約・請求を混同しないようにします。使うAPIの料金表と、実際に請求される契約を確かめましょう。

第8話のGAS試作には、呼び出し回数と間隔の制限がありますが、金額を計算して停止する機能や、請求額を表示する機能はありません。今回もコードの変更は行わず、費用の調べ方と記録を整理します。

4.1社・1か月の費用を、仮の数字で計算する

ここからは、計算練習用に単純化した例です。「1件」は問い合わせ一件、「1社」は提供先一社を指します。

月100件の問い合わせを扱い、再生成も含めてAPIを合計120回呼ぶと仮定します。API一回の平均費用を仮に0.10円と置くと、API分は12円です。0.10円は実在のモデルの単価ではなく、計算用の置き値です。

さらに、その一社へ割り当てる共通ツール代を500円、提供者の運用・問い合わせ対応を月30分とします。時間単価を仮に2,000円と置くと、30分は1,000円相当です。

月ごとの項目仮の計算と金額
API利用120回 × 0.10円 = 12円
共通ツール代の割当分500円
提供者の運用・対応時間0.5時間 × 2,000円 = 1,000円相当
合計1社・1か月あたり1,512円相当

この例では、外部への支出は512円、自分の時間を評価した分が1,000円です。自分の時間を金額に置いた分は、同額のお金を外部へ払ったことを意味しません。ここでは採算を考えるための管理用の見積もりとして区別しています。

初回準備に3時間かかるなら、同じ時間単価で6,000円相当です。これは月々の表に含めていません。初回の負担を一度で回収するか、一定期間に配分して考えるかは、価格と提供期間を考える次回につなげます。

なお、この表は税金や決済手数料、営業、開発・改善、その他の経費をすべて含むものではありません。自分の提供方法で必要な項目を足す前に、1,512円を販売価格や利益とみなさないようにしましょう。

5.利用量が増えた場合も、一度計算する

利用件数が3倍になっても、すべての費用が3倍になるとは限りません。共通ツール代は変わらず、API利用は増え、問い合わせ対応は新しい担当者が加わることで大きく増えることもあります。

「普段の利用」と「利用や対応が多い場合」の二通りを用意し、件数、平均呼び出し回数、人の対応時間をそれぞれ変えて計算します。仮定が実測なのか、まだ予想なのかも書き分けます。

同じ100件でも、短い質問だけの月と、長い案内や再生成が多い月ではAPI使用量が変わります。一回の平均費用は、実際に試した結果から見直しましょう。

問い合わせ件数、APIの使い方、人の対応時間を変え、見積もりと実際を比べる。

「増えるのはAIの利用料だけじゃない。説明や問い合わせが増えたときも考えるんだね」

6.請求と時間の記録を、同じ単位で見直す

最初は「一社・一か月」など、まとまりを決めて記録します。API使用量と請求、扱った問い合わせ件数、提供者の作業時間を並べると、見積もりとの差を確かめやすくなります。

プロジェクトを複数の用途で使う場合、その全額を一社分と取り違えないよう、集計範囲をそろえます。金額がまだ確定していなければ「概算」、未確認なら「未確認」と記載します。

費用が予想を超えたら、再生成が多かったのか、案内の更新や説明が増えたのかを調べます。単に人の確認を削って安くするのではなく、必要な品質を保ちながら、入力・資料・操作説明の改善を考えます。

利用量や費用を誰がどの頻度で確認し、どの水準で運用を見直すかも決めておきます。通知や予算表示を使う場合は、通知だけか、自動停止まで行うのかを確かめます。アプリ内の回数制限と、サービス側の請求管理は別に確認します。

今日の実践:費用メモを1枚作ろう

同梱の「提供費用メモ」に、初回準備、月々の外部支出、提供者の時間を書きます。現在分かる数字を入れ、まだ分からないものには調べる先と担当を添えます。

APIの単価を調べる場合は、モデル名、単位、通貨、確認日を一緒に残しましょう。無料枠を使うなら現在の見込みと、無料枠を前提にしない場合の見積もりを分けます。

最後に「一社・一か月」などの単位で、通常時と利用が多い場合を比べます。今回のゴールは値段の決定ではなく、何にお金と時間がかかるかを説明できることです。

🍀 今日の理解

AIサービスの費用は、API利用料だけでなく、初回準備・継続的な支出・提供者の作業時間を分けて整理する。

🔍 ほんねチェック

自分が無料で作業すれば、続けられるでしょうか。お金の支出がなくても、時間は必要です。顧客側の確認時間と、自分が提供する側の時間も混ぜずに記録しましょう。

📝 会社づくりメモ⑬

  • 初回だけの準備と、毎月の作業は何?
  • 問い合わせ一件で、APIを何回呼ぶ?
  • 提供者の時間と、外部へ払う金額はいくら?
  • 利用が増えたら、どの費用や作業が増える?

次回予告:最初の値段を、どう決める?

今回の費用メモに、顧客が得る価値と対応範囲を重ね、価格の案を考えます。

「ほんねくんのAI起業ラボ」は全24話。原則1日1話、休みを挟みながら、AI・ITの理解から小さな事業づくりまで進めます。

前回:第12話「試作品を、使ってもらえる形にしよう」

参考資料

公式資料の確認日:2026年10月24日。実際に使うモデル・プランの条件は、利用時点の公式資料と管理画面で確認してください。

1:Gemini APIの料金

2:トークンの理解とカウント

3:Gemini APIの課金